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佐藤充宏 江東区で税理士事務所・ファイナンスコンサルティング会社を経営しています。

給与計算・源泉徴収義務ご担当者の方むけ:分かりやすい源泉徴収税額表月額表の使い方をご紹介します。

給与計算・源泉徴収義務ご担当者の方むけ:分かりやすい源泉徴収税額表月額表の使い方をご紹介します。

はじめに

給与計算をする際に、給与から控除する税金や保険料等を算出する場合には、

誤りのないようにする必要があります。

この控除項目の中で算出が難しいものの1つとして、

源泉徴収する所得税と復興特別所得税(以下「所得税等」)がありますが、

この算出の際に、

「給与所得の源泉徴収税額表(月額表および日額表)」「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」

という表を用います。

そこで、この表の見方が難しいという話があるので、

今回は、この源泉徴収税額表の使い方のうち、今回は、月額表の使い方をご紹介します。

「給与所得の源泉徴収税額表(月額表および日額表)」

名称の通り、月額表と日額表というものに分かれます。

1.月額表

(1)月額表に基づく場合

次の①から③に該当する場合に月額表を用います。

①月ごとに支払う。

②半月ごと、10日(旬)ごとに支払う。

③月の整数倍の期間ごとに支払う。

(2)実際の月額表

令和6年分の月額表の一部は上述のとおりで、次の項目に分かれています

・その月の社会保険料等控除額の給与等の額

・甲

・乙

ここで甲・乙というのはありますが、これがいわゆる「甲欄」「乙欄」という用語で使われるものです。

(3)給与所得者の扶養控除等申告書の提出の有無

給与所得者の扶養控除等申告書の提出の有無によって、月額表の甲欄と乙欄の使い分けをします。

「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に支払う給与→甲欄

「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人に支払う給与→乙欄

税額表で用いる給与等の金額

次の算式によります。

その月(日)分の給与等マイナス健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料等の社会保険料等

税額表で用いる甲欄の扶養親族等の数

1.源泉控除対象配偶者と控除対象扶養親族(※)との合計数です。

(※)老人扶養親族または特定扶養親族を含みます

≪注意点≫

1.夫婦双方が互いに源泉控除対象配偶者に係る配偶者(特別)控除の適用を受けることはできません。

2.給与等の支払を受ける人が、障害者(特別障害者を含む)、寡婦、ひとり親又は勤労学生に該当する場合

 ・これらの一に該当する毎に扶養親族等の数に1人を加算します。

3.その人の同一生計配偶者や扶養親族(年齢 16 歳未満の人を含みます。)のうちに

 障害者(特別障害者を含みます。)又は同居特別障害者に該当する人がいる場合

 ・これらの一に該当するごとに扶養親族等の数に1人を加算した数を扶養親族等の数とします。

実際の給与計算例

1.月額表甲欄の場合

毎月給与支給をする場合で、源泉控除対象配偶者1名と控除対象扶養親族1名がいる従業員に対して

次の金額で給与計算を考えてみます。

1.給与230,000円

2.通勤定期代10,000円

3.雇用保険料1,440円

4.健康保険料11,976円

5.厚生年金保険料21,960円

6.住民税10,000円

とした時には、

源泉徴収する所得税等は、

給与マイナス雇用保険料マイナス健康保険料マイナス厚生年金保険料の算式となり、

194,624円

が源泉徴収税額表の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」になります。

源泉徴収税額表に当てはめてみると、一番左の金額欄では「193,000~195,000」の範囲にあり、

「扶養親族等の数」欄では、源泉控除対象配偶者1名と控除対象扶養親族1名の合計2名の列を見ていきます。

そして金額の行と扶養親族等の列が交わる

1,320円

が、今回源泉徴収する所得税等になります。

給与明細の内訳は結果として次の通りとなり

1.給与230,000円

2.通勤定期代10,000円

3.雇用保険料1,440円

4.健康保険料11,976円

5.厚生年金保険料21,960円

6.住民税10,000円

7.所得税等1,320円

差し引き支給額は、

1+2-3-4-5-6-7=193,304円

となります。

2.月額表乙欄の場合

扶養控除等申告書を提出していない従業員に対して、給与支給をする場合に、

次の金額で給与計算を考えてみます。

※乙欄の場合は扶養親族等の数は、月額表を用いて所得税等を算出する際に必要となりません。

1.給与3000,000円

2.雇用保険料1,800円

とした時には、

源泉徴収する所得税等は、

給与マイナス雇用保険料の算式となり、

298,200円

が源泉徴収税額表の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」になります。

源泉徴収税額表に当てはめてみると、一番左の金額欄では「296,000~299,000」の範囲にあり、

その範囲の行と乙欄の列が交わる

52,900円

が、今回源泉徴収する所得税等になります。

給与明細の内訳は結果として次の通りとなり

1.給与300,000円

2.雇用保険料1,800円

3.所得税等52,900円

差し引き支給額は、

1-2-3=245,300円

となります。

その他

上述は、内容が分かりやすいように、できる限り平易に記載していますので、実際の給与計算にあたっては、

一部異なる場合がありますので、個別の事例に応じて、税理士等の専門家にご確認ください。

まとめ

給与等を支払うときに源泉徴収をする所得税等を算出する表には、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表および日額表)」

又は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」があり、月額表を用いる場合には、甲欄と乙欄のいずれに該当するのか、

そして、事前に、給与等の金額から控除する社会保険料等の金額を集計し、

給与等の支払を受ける人の扶養親族等を把握しておく等の

対応が必要です。

 

≪画像出典元≫

国税庁ホームページより

給与計算・源泉徴収義務ご担当者の方むけ:分かりやすい源泉徴収税額表日額表の使い方をご紹介します。

 

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