昨日のブログでご紹介しました、「小規模事業者が消費税申告で簡易計算できる経過措置(いわゆる2割特例)」とは別の内容で
消費税インボイス制度において経過措置が設けられているものがいくつかありますので、今回はそのうちの1つをご紹介します。
経理担当者必見!消費税のインボイス制度の仕組みを解説 その13:小規模事業者が消費税申告で簡易計算できる経過措置(いわゆる2割特例)の概要
目次
免税事業者からの仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置
適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れの取扱い
消費税インボイス制度である適格請求書等保存方式において、
適格請求書発行事業者以外の者(消費者・免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れについては、
消費税における仕入税額控除を行うことができない事となっていますが、次の経過措置が設けられています。
免税事業者からの仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置
概要
適格請求書発行事業者以外の者(消費者・免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れであっても、
所定の期間において一定要件に該当する場合には、
仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できます。
経過措置の適用期間と控除できる割合
令和5年10月1日から令和8年9月30日まで:仕入税額相当額の 80%
令和8年10月1日から令和11年9月30日まで:仕入税額相当額の 50%
免税事業者からの仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置の適用を受けるには
下記事項が記載された、帳簿及び請求書等の保存が必要です。
1 帳簿の場合
区分記載請求書等保存方式の記載事項に加えて、経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載(※)が必要です。
具体的には、次の事項となります。
① 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
② 課税仕入れを行った年月日
③ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、
資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)及び経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨
④ 課税仕入れに係る支払対価の額
(※)記載例
その個々の取引ごとに、「80%控除対象」、「免税事業者からの仕入れ」等と記載する。
「※」や「☆」の記号・番号等を表示し、かつ、これらの記号・番号等が「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」を
別途「※(☆)は80%控除対象」などと表示する方法も認められます。
2 請求書等
区分記載請求書等と同様の下記記載が必要となります(区分記載請求書等に記載すべき事項に係る電磁的記録を含みます。)。
① 書類の作成者の氏名又は名称
② 課税資産の譲渡等を行った年月日
③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
④ 税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額
⑤ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称
※次の場合に限り、受領者が自ら請求書等に追記して保存することが認められます。
(提供された請求書等に係る電磁的記録を整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面に追記して保存している場合も同様に認められます。)
適格請求書発行事業者以外の者から受領した請求書等の内容について、
③かっこ書きの「資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨」及び④の「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額」の記載がない
まとめ
消費税インボイス制度においては、経過措置として、適格請求書発行事業者以外の者(消費者・免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)
からの課税仕入れであっても、所定の期間において一定要件に該当する場合には、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
納税資金の確保は、安定した経営と、事業の成長・発展のために不可欠です。
こちらの拙著「賢い事業資金の集め方・使い方・貯め方」では、事業資金の管理や税金に関する内容を分かりやすく執筆していますので、
是非ご覧下さい。
↓