経理業務を担当する人を専任で配置するにはコストもかかるので、
社長やその他の人が兼任をして、日常業務の合間で会計ソフトなどを使って経理をする会社も多いです。
目次
会計ソフトでは日々の取引を登録することにより自動的に貸借対象表や損益計算書が作成されます
毎月どれだけの売上があり、利益がどれくらい計上されたのか、手元に現預金がどれくらいあるのか、
このようなことは、貸借対象表や損益計算書から読み取ることができます
一方、手元資金がこれらの財務諸表の作成時点で確認できても、日々、そして、月々の資金繰りがどのようになっているのかは、なかなかイメージすることが難しいです。
黒字でも経営が厳しい会社の資金繰り
毎月の決算では利益が確保できていても、手元に事業資金が残っていないことがあります。
商品やサービスが好評で、売れ行きが良いにも関わらず、経営が上向かない事も実際にはあります。
なぜ、このようなことが発生するのでしょうか。
例えば、
3月月初の現預金が1,500万円
売上代金の入金期限いわゆる入金サイトが月末締め翌々月15日払い
仕入れ代金の支払期限いわゆる支払いサイトが月末締め翌月末払い
という会社の場合に、
3月の売り上げが3,000万円
3月の仕入れが2,000万円
3月の経費が全て即時払いで300万円
とした場合に損益計算上は、利益が700万円(3,000万円マイナス2,000万円マイナス300万円)です。
会社の業績としては利益が700万円確保された形になっていますが。
売掛金が3千万円
買掛金が2千万円
あります
そして、この各々の代金の決済に関する会社の資金繰りを見てみると
4月30日に買掛金2,000万円の支払い
5月15日に売掛金3,000万円の入金
となります。
売上代金の入金より仕入れ代金の支払いの方が先に到来します。
この場合、買掛金2,000万円の支払いに充てるためには会社の現預金を元にしなければなりません。
しかし、現預金が1,500万円しかない場合にはどうなってしまうでしょうか
支払い代金が500万円足りないため、金融機関から借入をするか、経営者が一時的に立て替えとをしなければならなくなります。
決算上は利益が出ていても、事業資金が足りなければ、会社の事業を継続することはできません。
このように、入金サイトと支払サイトの設定によっては会社の資金繰りがショートしてしまうこともあります。
そのため、必ず事業資金が正常に循環するように入金サイトと支払サイトの設定をしなければなりません。
資金繰りの改善例
今回の改善方法の一つとしては、
入金サイトを支払いサイトより前に設定するということです。
入金サイト
変更前:月末締め翌々月15日払い
変更後:月末締め翌月20日払い
支払いサイト
月末締め翌月末払いは変わらない形とする。
このような場合であれば、
4月20日に売掛金3,000万円の入金
4月30日に買掛金2,000万円の支払い
となり、4月30日付の買掛金2,000万円の支払いには、4月20日の売掛金入金代金3,000万円の一部を充てることができます。
もちろん、この入金サイトを変更するにあたっては、取引先の承認を得なければなりませんが、会社の事業継続のためには必要な対応となります。
また、入金サイトを早めるのではなく、支払いサイトを遅くするというのも一つの方法としてありますが、こちらも、同様に、支払先の承認を得る必要があります。
このように、入金サイトと支払サイトの設定によって会社の資金繰りが全く違ってくるので、
取引先との取引開始時には事業資金が循環に回るように入金上限や支払い条件を決めなければなりません
まとめ
安定した事業資金の循環のためには入金サイトと支払サイトの適切な設定が大切です。
支払資金が不足する事がないように、日々の資金繰りを計画しましょう。
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