最近メディアで消費税インボイス制度に関する報道の中で新しい内容が議論されていることが伝わってきます。
激変緩和措置
少額取引免除
というワードがその中で登場してきますが、一体どのような内容なのかという事を、
現時点で入手できている情報の中でご紹介します。
目次
小規模事業者向けの猶予措置
小規模事業者からの1回の仕入れ額が少額の取引について、インボイスなしで控除を受けられるようにする。
小規模事業者の範囲:年間課税売上高が1億円以下の事業者
少額取引の金額:1万円未満
これがいわゆる、激変緩和措置と少額取引免除の概要案とされています。
ところで、実は激変緩和措置という用語は、以前からインボイス制度実施後の経過措置期間が設けられた際にも使われていました。
この内容は、概して、免税事業者等からの仕入れについても、インボイス制度実施後6年間は、
仕入税額相当額の一定割合を控除可能な経過措置が設けられているという中で使われていた用語でしたが、
今回の報道でも使われていましたので、内容を分けておさえる必要があります
激変緩和措置と少額取引免除の検討が行われるに至った経緯
インボイス制度においては、適格請求書発行事業者として登録申請をし、登録通知を受けなければ、
インボイスである適格請求書を交付することはできないこととなっています。
また、買い手側では、適格請求書(または適格簡易請求書)の交付を受けなければ仕入税額控除ができないという構造になっています。
そのため売り手側では、買い手側のことを考え、適格請求書発行事業者として登録をする事を考えますが、
適格請求書発行事業者には、消費税の申告義務が発生することになります。
そのため、
今までは消費税が免税となっていた事業者が適格請求書発行事業者に登録する場合には、
消費税の納税が発生し資金繰りが厳しくなることに繋がります。
その上で、もし適格請求書発行事業者に登録しない場合には、
買い手側は、取引条件の見直しを求めてきたり、
登録していない事業者よりも登録している競合事業者と取引をしたりする可能性も出てきます。
そのためフリーランスや一定の業界については、インボイス制度が実施されると経営が厳しくなるとされている面があり、
そのような事情等も考慮して今回の激変緩和措置・少額取引免除の検討が行われているようです。
※上述の内容についてはイメージがしやすいように記載していますが、実際には、個別に取り扱いが異なる場合がありますので、
詳細は税理士等の専門家にご確認ください。
今回の報道を受けて対応すべきこと
1.正確な情報を入手する
今回の報道はあくまでも政府与党内での議論が行われている現在進行形の内容になります。
そのため、現時点での報道内容が変更となる場合や追加となる場合もあります。
そこで、最終的に確定した内容を正確に理解する必要があります。
2.自社に影響がある内容を洗い出す
激変緩和措置・少額取引免除は全ての事業者に対して適用されるものではありません。
そのため、
自社が対象事業者なのか。
対象事業者となった場合には、適格請求書発行事業者の登録申請をすべきか否か。
自社が登録申請をした後は何をすべきか。
自社が登録申請しなかった場合には何をすべきか。
洗い出す必要があります。
適格請求書発行事業者として登録申請をしている場合の注意点
すでに適格請求書発行事業者として登録申請をしている事業者は多数あります。
その登録申請事業者については、今回の報道がされる前に登録申請をしているケースがほとんどのため、
激変緩和措置・少額取引免除の対象となる事業者でありながら、登録申請をすでに済ませてしまっている場合も十分考えられます。
そこでこのような事業者に対しては、政府はどのような措置を設けるのか、そして設けられた場合には、どのように手続きをし、
どのような取り扱いになるのかを把握しなければなりません。
事後的な措置が行われるということは、既にこの措置が周知される前に登録申請手続きを終えている事業者への配慮が必要になってきます。
その他
繰り返しになりますが、上述の内容についてはあくまでも現時点で議論されている内容であり、最終決定しているものではありません。
また報道媒体や時期によっても上述の内容と異なる場合があるので、現時点では動向を見ながら、自社にどのような影響があるのか、
影響がある場合にはどのようなことをしなければならないのかを洗い出しましょう。
まとめ
最近のメディアでは、消費税インボイス制度における激変緩和措置・少額取引免除について取り上げられています。
現在進行形の内容ですので、最終決定内容がどのようになるのか、そして、自社が何をすべきかを把握し、
不明点等は所轄税務署や税理士等の専門家に確認をしましょう。
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