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会計ソフトを使って、日々の経理処理を自社で、あるいは、税理事務所に業務委託している会社むけのご案内です
事業活動をしていると、定常的に発生する取引と、今までは発生した事のない臨時偶発的な取引があります。
定常的に発生する取引でいうと、
売上
仕入
水道光熱費
通信費
給料
家賃
などがあり、
臨時偶発的な取引でいうと、
設備購入
車両などの下取売却
貸倒
などがあります。
もちろん、これら以外にも多くの取引がありますが、この取引の一つ一つを会計ソフトに登録させる事により、毎月、四半期、半期、年間といった経営数値を集計する事が出来ます。
今では、経理の自動化が進み、口座での入出金取引やクレジットカードでの利用取引を自動で会計ソフトに取り込む事が出来るようになり、会計ソフトへの入力時間を削減する事が出来るようになってきています。
すると、今度は、その会計ソフトで集計された経営数値の分析を効率的にするのがポイントになってきます。
会計ソフトに入力すべきものを全て入力して、誤りがなければ完了。
というのではもったいないです。
入力後の経営数値を分析・検証して、今後の事業活動に活かす事こそ大切なのです。
経営数値の分析は「見易さ」が大切です
貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書などは、会社の決算時に作成されるものですが、この経営数値に関わる情報は、会社によって千差万別です。
また、この経営数値の活用方法も千差万別ですが、この経営数値を事業で活用するには、見易さが大切です。
集計後の数値を見るだけでなく、どのようなデータが集計されたのかを確認する事もあります。
そのため、経営数値の分析をし易くする事が意思決定を速める上では必要です。
勘定科目によって、取引の内容が異なります
貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書などは財務諸表といわれ、この財務諸表によって、表示されている内容が異なります。
貸借対照表であれば、一定時点での資産や負債・純資産といった財政状態を表し、
損益計算書は、一定期間で売上や原価・経費やその他の収益や費用がどれだけは発生したかという経営成績を表し、
キャッシュフロー計算書であれば、一定期間中の資金増減がどのようになっているのかを表しています。
それぞれの表示目的がありますが、その中でも、昔から作成されていた貸借対照表や損益計算書では、「勘定科目」といって、その取引が集約されたものを区分して、その勘定科目に集約された取引が網羅されるようになっています。
例えば、売掛金でいうと、得意先への商品納入が終わり、請求書を発行すると、売掛金が発生し、その請求代金が入金になると、その売掛金が減少し、その得意先への売掛債権がなくなれば、売掛金の残高はゼロになります。
また、給料であれば、毎月発生している給与がどれくらいであるのかが分かるものになっています。
このようにその勘定科目から、取引内容が分かるので、この勘定科目をどのように設定するのかがポイントです。
勘定科目の内訳として、さらに、「補助科目」を設定する事をおすすめします
勘定科目によっては、集約される取引が同じようなものや、いくつか違うものがあったりします。
会計ソフトへの入力をしていると、その登録に誤りがないのかを確認しますが、その際に、1つの勘定科目で、毎月複数種類の取引が定常的に発生するものがあります。
その勘定科目で、毎月全て複数種類の取引が発生しているのか確認するには、その種類の数が多ければ多いほど、手間になります。
これには、次のようなものがあります。
水道光熱費であれば、
電気代
ガス代
水道代
といった費用があります。
これらの費用は全て水道光熱費に集約されますが、この勘定科目の中身をチェックして、毎月(水道代は2ヶ月に1回発生が多いですが)適正な勘定科目で計上されているのかを見るのは、1年分のデータを見ると、それなりに労力を要します。
そこで、このような時に「補助科目」を活用するのです。
具体的は、水道光熱費について、会計ソフトで補助科目設定のメニューから電気代・ガス代・水道代といったように登録するのです。
会計ソフトでは、通常この補助科目設定のメニューが用意されていますので、設定自体には手間はそんなにかからないと思います。
そして、補助科目の設定が完了したら、実際に発生した取引を登録する際には、その設定した補助科目ごとに登録させれば良いのです。
これをしておくと、最終的に1年分が集約されると、
水道光熱費の中の電気代では、
日付 摘要 金額
1月31日:電気代 39,000円
2月28日:電気代 45,800円
~
10月31日:電気代 43,102円
~
というように、電気代だけの取引を勘定科目の中からチェックする事が出来ます。
そのため、入力漏れや入力誤りがあった場合には、簡単に見る事が出来ます。
このように最初から補助科目を設定しておけば、その後のチェックの労力は減らす事が出来るのです。
補助科目設定の例
補助科目を設定するのは、会社毎の取引発生状況により異なりますので、任意で使いやすいようにした方が良いですが、今回は、その例をいくつかご紹介します。
普通預金や当座預金・定期預金:金融機関毎
売掛金や買掛金:相手先毎
未収入金や未払金・未払費用:相手先毎や取引内容毎
(長期)前払費用や(長期)前受収益:相手先毎や取引内容毎
借入金:借入毎
リース料:リース内容毎
租税公課:税金の種類毎
その他にもありますが、ポイントは、この勘定科目の内容をどのように活用するのかです。
経営陣への報告や外部株主や債権者への報告、そして、確定申告書等の書類作成といったものにも活用できますので、そのような事を想定して設定するようにしましょう。
まとめ
勘定科目の補助科目を設定するのは、経営判断をスムーズにするだけでなく、経理担当者の業務効率を向上させ、そして、取引登録の漏れや誤りを減らす事にも繋がります。
補助科目を設定したら、それをどのように活用できるのかを考えて、効率的な設定をするようにしましょう。