目次
はじめに
令和5年も9月になりました。
12月決算の会社であれば第3四半期の期末月であり、3月決算の会社であれば上半期の期末月です。
一事業年度の経営成績等を把握する事が、今後の事業の成長・発展につながるので、
月次や四半期・半期の決算作業を各会社では行いますが、実績値の集計だけでもかなりの業務量があります。
しかし、実績値の集計をするだけで終わりではありません。
事業計画・予算と実績との比較検証
事業計画と予算
事業規模の拡大等を目指す過程において、今後数年の事業計画を策定し業績目標となる数値を設定し、合わせて、
毎年の各事業年度前の一定時期までに各事業年度の予算額を編成します。
事業計画値や予算値が目標の1つとなり、目標達成のために事業活動が日々行われますが、これらはあくまでも、
計画値であり、予め算定された値
です。
この事業計画や予算として設定した項目が、実績としてどれだけの値になってるのかを見ることが重要です。
実績値との比較
例えば、事業の拡大をするために、正社員の採用人数を増加することに対して予算を確保するとした場合、
5名分の増員予算として例えば4,000万円を確保したが、実際には2,500万円のみの人件費計上となった場合にはどうなるでしょうか。
本来は4,000万円と見込んでいたところ、実際には1,500万円だけだったので差額2,500万円分の人件費がかかっていないということになります。
この要因を分析してみると、
当初5名の正社員採用を計画していたところ、実際には、正社員2名とアルバイト1名のみとなっている事が判明しました。
当初の採用計画が達成できず、事業の拡大も停滞している可能性があります。
そこで、拡大した事業の売上高を分析してみると、計画値よりも実績値が3,000万円減っていることも判明しました。
売上減少要因はいくつも考えられますが、そのうちの1つが、この分析から事業拡大に必要な人員を確保できず、
その分売り上げが減少することとなったと読み取ることもできます。
計画値や予算値と実績値を比較しないと、このような要因の分析をすることが難しいです。
そのため、比較検証はできる限り早い段階で行うことが、今後の事業方針の見直しにもつながります。
しかし、実際には、日常業務に追われていると、なかなか比較検証する時間を確保できません。
そこで、毎年、所定の時間帯を比較検証のために優先的に事前に確保する必要があります。
これをすることにより、関連業務を逆算で考えることができます。
例えば、3月決算の会社であれば
10月5日に上半期の決算報告内容と事業計画・予算値との比較検証及び今後の対策を行う
10月4日:上半期の決算報告内容と事業計画・予算値との比較検証データの集計を完了
10月3日:上半期の決算報告内容確定
10月2日:社内各担当部署より、上半期決算数値等集約及び資料提出
といったように、スケジュールを組んでおくと、いつまでに何をしなければならないのかということが可視化できます。
今では決算早期化というものが、多くの会社で行われているので経理担当者にとってはいかに業務を効率的にそして正確に進めるのかが課題となりますが、
スケジュールを逆算して、その業務が実現可能かどうかというものを事前に確認しておく事も大切です。
まとめ
事業の成長・発展のためには、決算の実績値が確定するのと合わせて、事業計画値や予算値との比較検証をすることが重要です。
当初の計画・予算値と実績値に差異がある場合には、その要因を分析し、適宜改善・見直しをしなければなりません。
そのため、毎年所定の時期に比較検証作業をする時間帯を事前に優先的に確保しましょう。
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