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借入は事業活動をする上では有効な資金調達方法です
多くの会社が借入をしています。
経営者個人の資金を会社に貸し付ける、つまり、会社が経営者個人から借り入れをする場合と
金融機関から借り入れをする場合、
その他第3者から借り入れをする場合
等があります。
借入をするのはネガティブに考える必要はありません。
事業資金が潤沢にあっても、金融機関から借りる場合があります。
拙著「賢い事業資金の集め方・使い方・貯め方」でもご紹介していますが、手元に資金があるからこそ、会社の成長や発展のために事業活動を行なう事が出来るのです。
人に対しての投資、モノに対しての投資等。
投資をするにはお金が必要です。
お金があるからこそ事業活動が出来、取引先へモノやサービスの購入代金を支払う事が出来るのです。
借入のレバレッジ効果を実感している会社も多いはずです。
借入をするには、将来の返済計画を立てなければなりません
ところで、借入をするのであれば、将来的に返済の必要があるので、借り入れ後の資金計画を立てなければなりません。
事業資金の貸し付け側も、貸したお金を返してくれるからこそ、貸付をするのです。
そのため、安易な計画で借り入れは出来ず、きちんと返済計画を立てる必要があります。
金融機関からの融資であれば、金銭消費貸借契約書等の書面に基づき、定期的に元金と利息の返済を求められるので、会社の手元資金の中から、遅滞なく返済をしてくことになります。
借入をしている場合の財務諸表からの資金繰りのチェック方法をご案内します
会社では、毎月又は一定期間毎に決算を組んで、その期間の経営成績を表示する損益計算書や、一定時点の財政状態を表す貸借対照表を作成します。
その他にも、キャッシュフロー計算書等を作成する場合もありますが、損益計算書や貸借対照表という財務諸表を元に経営上の意思決定の参考資料の一つにしています。
しかし、この二つの財務諸表だけでは、会社の資金繰りを把握する事が出来ません。
先述のキャッシュフロー計算書を作成しているのであれば、これを元に資金繰りを把握する事も出来ますが、キャッシュフロー計算書を作成している会社はまだまだ少ないです。
そのような状況でも、資金繰りを把握しなければなりません。
そこで、借入をしている場合の資金繰りのチェック方法にはどのようなものがあるのかをご案内しますので、次のような例を元にご説明します。
例
損益計算書
売上高 22,000
売上原価 8,800
売上総利益 13,200
販売費一般管理費 3,300
営業利益 9,900
金融機関への支払利息 550
経常利益(イコール税引前当期純利益) 9,350
貸借対照表
現金預金 300,000
金融機関からの借入金 90,000
※毎月中旬に元金10,000の返済
純資産 210,000
という、財務諸表があったとします。
損益計算書を見ると、税引前利益が9,350のため、現時点までの期間は利益が出ていて、そして、手元資金の現金預金が300,000残っているので、順調に推移していると思うかもしれません。
しかし、この二つの財務諸表だけでは見えない事があります。
それは、借入金元金の毎月の返済額10,000が資金繰り上どのような影響を与えているのかが分かり難くなっているのです。
貸借対照表からは、借入金以外の債権債務はなく、全て現預金取引のため、税引前利益9,350が今回キャッシュとして増加していると考えがちです。
しかし、この損益計算書では、借入金元金返済10,000が反映されていないのです。
そのため、今回の例では、
税引前利益9,350から借入金元金返済10,000を差し引いた額である
マイナス650(9,350ー10,000)
が、この対象期間の事業資金として増減した金額なのです。
つまり、事業資金は650減少したのです。
資金繰り状況は必ずチェックしましょう
いつも見ている経営資料だけでは、ひょっとしたら、会社の資金繰りを把握できない、又は、把握し難くなっているかもしれません。
しかし、事業資金は会社の血液です。
血液の循環が滞ってしまったり、止まってしまったら、大変な事になってしまいます。
今回は、借入金の返済から資金繰りのチェック方法を見ましたが、自社に合ったチェック方法で、正確な資金繰りを把握するようにしましょう。