
目次
はじめに
会社や個人が自動車を新しく購入・使用する際に必要になるのが「車庫証明(自動車保管場所証明書)」です。
営業車や社用車を導入する際にも必須の手続きであり、経営者・経理担当者にとってはしておきたい内容です。
この申請時に納付する「車庫証明手数料」は、金額としては少額ですが、経理処理において 消費税が課税されるのか、非課税等なのか、 を正しく理解しておく必要があります。
本記事では、最新の制度改正(標章交付手数料の廃止) を踏まえ、車庫証明手数料の内容と消費税の取り扱いについて解説します。

車庫証明とは?
車庫証明とは、正式名称を「自動車保管場所証明書」といい、登録自動車を保有する際に「駐車スペースを確保していること」を証明する制度です。
都市部を中心に道路上の駐車スペースが不足している背景から、違法駐車や交通障害を防ぐ目的で導入されました。
この制度は法人・個人を問わず適用され、会社で営業車を導入する場合も必須となります。
車庫証明手数料の最新内訳
これまで車庫証明には「申請手数料」と「標章交付手数料(ステッカー代)」の2つが存在していました。
しかし、令和7年(2025年)4月1日から標章交付手数料は全国で廃止され、標章(ステッカー)の交付もなくなりました。
したがって、現在必要となるのは 申請手数料のみ です。
- 申請手数料
- 自動車保管場所証明書を申請する際に必要な費用
- 各都道府県で条例に基づき金額が定められる
- 東京都の場合:窓口申請 2,400円、電子申請 2,300円(2025年9月時点)
👉 令和7年(2025年)4月1日からは、「標章交付手数料」は不要となりました。
消費税の取扱い ―「非課税」
結論から言えば、車庫証明手数料(申請手数料)は消費税の「非課税取引」 です。
主な関連法令等
消費税法別表第二・五イ(2)
概要:国や地方公共団体等が法令に基づいて行う「証明」等に係る一定の手数料は非課税。
消費税法基本通達6-5-1
概要:証明、公文書交付等の一定の行政手数料は非課税。
国税庁タックスアンサー No.6201, 6205
行政手数料(登記、証明等)は非課税取引として明示。(以下抜粋)
- タックスアンサーNo.6201 非課税となる取引
~
主な非課税取引
~
(7) 国等が行う一定の事務に係る役務の提供
国、地方公共団体、公共法人、公益法人等が法令に基づいて行う一定の事務に係る役務の提供で、法令に基づいて徴収される手数料
なお、この一定の事務とは、例えば、登記、登録、特許、免許、許可、検査、検定、試験、証明、公文書の交付などです。
~
- タックスアンサーNo.6205 非課税と免税の違い
~
非課税取引
~
消費税は国内で消費される財貨やサービスに対して広く公平に負担を求める税金です。原則として国内におけるすべての取引が課税の対象となります。
しかし、国内取引であっても消費に負担を求める税としての性質上や社会政策的配慮から課税の対象としないこととされている取引があり、これを「非課税取引」といいます。
例えば、土地や有価証券、商品券などの譲渡、預貯金や貸付金の利子、社会保険医療などの取引がこれに当たります。
非課税とされる取引には消費税が課税されませんので、非課税取引のために行った課税仕入れについては、原則としてその仕入れに係る消費税額を控除することができません。
~
つまり、警察署へ支払う車庫証明手数料は「非課税仕入」です。
代行業者に依頼した場合の注意点
申請は自分で行うこともできますが、行政書士や自動車販売店に依頼するケースも少なくありません。
この場合は、実費(非課税)と代行報酬(課税)を明確に区分 することが必要です。
- 申請手数料(実費)
- 警察署へ納付する行政手数料
- 消費税法上は非課税
- 勘定科目は「租税公課」「支払手数料」等が一般的
- 代行報酬
- 行政書士報酬や販売店手数料
- 消費税課税取引(10%)
- 勘定科目は「支払報酬」「支払手数料」「業務委託費」等
仕訳例(代行依頼時)
例:行政書士へ依頼し、以下を現金で支払った場合(税抜き経理)
- 代行報酬:5,000円(+消費税500円)
- 車庫証明申請手数料(実費):2,300円
(借方)支払報酬(又はその他) 5,000円
(借方)仮払消費税 500円
(借方)租税公課(又はその他) 2,300円
(貸方)現金 7,800円
👉 ポイントは、実費=非課税、代行報酬=課税 と仕訳を分けることです。
実務上の注意点
- 請求書・領収証の確認
- 代行業者の請求書に「実費」と「報酬」が明確に分かれているかを必ず確認する
- 勘定科目の適切な選択
- 実費は「租税公課」等
- 報酬は「支払報酬」等

まとめ
- 車庫証明の申請手数料は 非課税取引
- かつて存在した「標章交付手数料(ステッカー代)」は 2025年4月以降廃止
- 申請代行を依頼した場合は「実費(非課税)」と「代行報酬(課税)」を分けることが重要
経理担当者は「実費=非課税、代行報酬=課税」というルールを押さえ、正しい仕訳を心がけましょう。
免責
今回のブログの内容は、現時点での法令等に基づき、出来る限り平易な内容で概要としてお知らせしているものになります。
そのため、実際の経理処理や税務処理の判断等については弊所では責任を負いかねるものであり、個別の具体的な事例等に応じて、適切にご対応頂く必要がありますので、必ず、所轄税務署や税理士等の専門家にご確認をお願いします。