
目次
はじめに
「そろそろ車を買い替えたいけど、毎月の支払いはできるだけ抑えたい」
そんなときにディーラーから提案されることが多いのが「残クレ(残価設定型クレジット)」です。
名前は聞いたことがあっても、実際の仕組みやメリット・デメリットを正しく理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。
残クレは、一見すると「月々の負担を軽くできる便利なローン」に見えますが、その裏側には注意すべき点も存在します。契約内容をきちんと理解せずに利用してしまうと、後々「思ったよりお得じゃなかった」と感じるケースも少なくありません。
本記事では、残クレの基本的な仕組みから、メリット・デメリット、利用時の注意点までを整理して、初めての人でも分かりやすく解説します。経営者や経理担当者の方にとっては、社用車購入の検討にも役立つ内容です。
なお、今回紹介する残クレは、あくまで一般的な仕組みを整理したものです。実際はディーラーや金融機関ごとに内容が異なる場合があり、また、人によって「メリット・デメリット」の捉え方も違う点をあらかじめご理解ください。

残クレ(残価設定型クレジット)とは?
残クレとは、車の購入時に「将来の下取り価格(残価)」をあらかじめ設定し、車両価格からその金額を差し引いた残りを分割払いする自動車ローンのことです。
例えば、300万円の新車を3年分割払いで購入する際に、3年後の残価が180万円と設定された場合、実際に支払いの対象となるのは残りの120万円+金利(分割手数料)です。
そのため、通常のローンに比べて月々の支払い額が低くなるのが特徴です。
残クレの仕組みをもう少し詳しく
- 契約時に車両価格と残価を決める
- 残価を差し引いた金額を、3年~5年程度のローンで毎月支払う
- 契約終了時に「乗り換える」「買い取る」「返却する」のいずれかを選択
この流れで進みます。
残価はディーラーや車種ごとに異なり、人気車種やリセールバリューの高い車は残価設定が高めにされる傾向があります。
残クレのメリット
- 月々の支払いが軽くなる
- 定期的に新車へ乗り換えやすい
- 社用車の資金繰りに有利
通常のカーローンに比べて、支払対象額が少ないため、毎月の負担を抑えることができます。
また、契約終了時に車を返却して新しい車に乗り換えることが可能です。常に最新の車に乗りたい人に向いています。
経営者や経理担当者の立場から見ても、車両購入の初期負担を軽減できるため、資金繰りを安定させやすいという利点があります。
残クレのデメリット
- 走行距離や車両状態に制限がある
- カスタマイズや改造に制限
- 最終的な支払い方法によっては負担増
契約時に「年間1万km以内」などの走行距離制限条件が設定される場合があります。オーバーすると残価が減額され、追加費用が発生する場合があります。
また、大きな修理やカスタムをすると査定が下がり、返却時に追加費用を請求される可能性があります。
そして、「残価を一括で支払って買い取る」場合、結局は通常のローンと大きな差がなくなることもあります。
契約終了時に選べる3つの選択肢
- 新しい車に乗り換える
- 車を返却する
- 車を買い取る
残価を支払う必要はなく、スムーズに次の契約に移れます。
査定基準を満たしていれば追加費用は不要です。ただし傷や走行超過があると追加精算が発生します。
買い取る場合は残価を所定の方法により支払います。
経営者・経理担当者が気をつけたい点
残クレを利用する場合、次のような点に注意が必要です。
- 法人利用の場合はリースとの比較を必ず行う
- 会計・税務上の処理がどのようになるのかを、購入前に確認する
- 契約終了時の残価精算が会社のキャッシュフローに影響を及ぼす可能性がある
残クレとリースの違い
残クレは「ローン」、リースは「賃貸借」に近い仕組みです。
残クレは車両の所有者が購入者となります。
一方、リースは所有権がリース会社にあるため、会計・税務処理や費用の見え方が異なります。
経営者の場合、リースの方が経費処理をしやすいケースもありますが、所有権を持ちたい場合は残クレが選択肢に入れながら、どちらが自社に適しているのかをチェックする必要があります。
残クレを選ぶときのチェックリスト
- 走行距離の上限は自分の利用スタイルに合っているか
- 契約終了時の選択肢を明確にイメージできているか
- 残価設定が適正か(高すぎると後で精算リスクが大きい)
- 金利や手数料の総額をしっかり確認しているか

まとめ
残クレは「月々の支払いを抑えながら車に乗れる便利なローン」といわれていますが、契約条件を正しく理解して使わないと、後から思わぬ負担になることがあります。
特に、走行距離や車両の状態に制限があること、最終的な残価精算の方法を事前に考えておくことが重要です。
経営者・経理担当者にとっては、社用車の資金繰りを調整できる有効な手段でもありますが、会計・税務上の扱いやリースとの違いを把握して選ぶことが欠かせません。
「残クレ」という選択肢を理解して、効率的な車の活用に繋げましょう。