
1. はじめに
2025年7月30日、政府がガソリン税の旧暫定税率を年内に廃止する方針であることが報じられました。
実質的には「税制改正」の一環として、燃料価格に上乗せされてきた“旧暫定税率(25.1円/L)”を撤廃するという事です。
これは企業活動における燃料コストの見直しに直結する重要なニュースであり、
経営者にとっては必要な情報です。
そこで、今回は、ガソリン税の基本構造、旧暫定税率廃止の背景と内容、そして経営への実務的な影響について詳しく解説します。
2. 内容
■ ガソリン税とは?構造と暫定税率の関係
ガソリン税(揮発油税+地方揮発油税)は、かつて道路整備を目的に創設された税金で、現在はリッターあたり53.8円が課税されています。
このうち、**本則税率(28.7円)**に加えて、40年以上前から「時限措置」として設けられたのが、**旧暫定税率(25.1円)**です。
当初は景気対策としての一時的措置でしたが、事実上、恒久化されてきました。
⚠ポイント:この旧暫定税率が撤廃されると、ガソリン1リットルあたり最大で25.1円の減税が見込まれることになります。
■ 経営者視点:ガソリン税廃止が与えるコスト影響
経営者にとって重要なのは、「この改正で実際にどれだけコストが変わるか」です。
● 試算:年間10,000リットルのガソリンを消費する事業所の場合(仮定)
項目 | 暫定税率あり | 暫定税率廃止後 |
---|---|---|
税負担額(25.1円 × 10,000L) | 約251,000円 | 0円 |
年間コスト差 | ― | 約25万円のコスト減 |
このように、社用車を複数台保有する事業所や、配送・移動の多い業種(例:建設業、訪問型サービス業、運送業など)では、
年間で数十万円規模の経費削減につながる可能性があります。
■ ガソリン価格に反映されるか?今後のポイント
ただし、廃止による「減税分」が必ずしもガソリン価格にすべて反映されるとは限らない点に注意が必要です。
例えば、
-
原油価格の変動
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為替レート(円安の影響)
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消費税との関係(課税ベースの変化) 他
こうした要因によって、実際の給油価格は変動する可能性があるため、
「会計上の想定価格」と「現場での実感値」は分けて管理する必要があります。
■ 経営者として今できること:実務面の対応策
① 燃料費の実績データを集計・可視化する
まずは、必要に応じて、直近1年間の燃料消費量と単価、支払総額を集計してみましょう。
Excelやクラウド会計ソフトでの月別推移の可視化が有効です。
② 税制改正のタイミングで「予算の見直し」を行う
ガソリン価格の減少が見込まれる場合、販管費予算の適正化や、新たな投資計画への振替も検討できます。
③ 他のエネルギーコストと合わせた総点検を
ガソリン税だけでなく、電気・軽油・都市ガスなど、全体的なエネルギーコストの管理強化を進める機会として
捉えた方がこれらのコスト削減に繋がる可能性があります。
3. まとめ

旧暫定税率の廃止は、「40年続いた上乗せ税」がようやく見直される大きな転換点です。
一見すると業界ニュースのように思えるかもしれませんが、実際には企業経営に直結する**“燃料コスト構造の見直し”**であり、
特に燃料を多く使う業種の経営者にとっては見過ごせない内容です。
この機会に、自社の燃料消費実績の見直しと、税制動向に合わせた戦略的コスト管理を進めていきましょう。