
目次
はじめに
資金運用や借入に関する意思決定において、「単利」と「複利」の違いを理解しているかどうかは、
将来的な損得に大きな影響を与えます。
特に経営者や経理担当者の方は、融資や投資、社内の資金管理において金利計算の基本を押さえておく必要があります。
そこで、今回は、単利と複利の違いを「数字で見える」形でわかりやすく解説し、実務に役立つ視点をお届けします。
内容
■ 単利とは
単利は、元本(最初に預けたり借りたりする金額)に対してのみ利息が発生する仕組みです。
元本が100万円で年利3%なら、毎年の利息は3万円。10年経っても利息はずっと3万円で、10年経った時点での累計利息は30万円です。
例)単利での利息の推移(年利3%、元本100万円)
年数 | 元本 | 年間利息 | 累計利息 | 合計額 |
---|---|---|---|---|
1年目 | 100万円 | 3万円 | 3万円 | 103万円 |
5年目 | 100万円 | 3万円 | 15万円 | 115万円 |
10年目 | 100万円 | 3万円 | 30万円 | 130万円 |
単利はシンプルで計算しやすく、借入契約(金銭消費貸借契約)等で使われることが多いです。
■ 複利とは
複利は、利息が元本に組み入れられ、次回の利息計算の対象になる仕組みです。
つまり「利息にも利息がつく」という点が特徴です。
先程と同じく元本100万円・年利3%・10年間で計算した場合、複利だと最終的な利息額は以下のようになります。
例)複利での利息の推移(年利3%、元本100万円)
年数 | 元本(+前回利息) | 年間利息 | 合計額 |
---|---|---|---|
1年目 | 100万円 | 3万円 | 103万円 |
5年目 | 約109万円 | 約3.27万円 | 約115.9万円 |
10年目 | 約130万円 | 約3.9万円 | 約134.4万円 |
単利と比較すると、10年後には約4.4万円の差が生まれます。
■ 金融商品・融資での使われ方
金融商品や融資においては、次のように
区分 | 一般的に多い金利方式 |
---|---|
金融機関融資 | 単利(※) |
投資信託・再投資型定期預金 | 複利 |
社債・公債 | 単利が基本 |
株式投資の配当再投資 | 実質的に複利効果 |
(※)金融機関融資については、複利ではありませんが、仕組みによっては複利に“見える”ような負担になることがあります。
例えば、住宅ローン等に多い元利均等返済方式の場合をみていきます。
↓
初期は返済額の中で利息の占める割合が大きく、元本がなかなか減らない。
↓
時間とともに、元本が減り、利息の割合が小さくなる。
↓
この構造により、初期の返済で多くの利息を支払っている
↓
元本が減りにくい=利息が長期間発生し続ける
↓
長期にわたると利息が累積しやすい
↓
見た目は単利でも、負担構造としては複利に近くなるというイメージです。
まとめ
単利と複利は、単なる数学的な違いではありません。
資金の出入りが発生する経営の現場においては、数年後の資金残高や利息負担に大きく影響します。
シンプルな概念ですが、長期的には「知らなかった」では済まされない差が出るのが金利の世界です。
今後の資金計画や資産形成、借入契約の際には、ぜひ今回のポイントを参考にしましょう。