電子帳簿保存法の改正について、前回はスキャナ保存(区分②)の改正についてご案内しましたが、今回は、電子取引に関する改正についてご案内します。
目次
電子取引(区分③)に関する改正事項
タイムスタンプ要件及び検索要件についての一定要件が緩和されました
タイムスタンプ要件に係るタイムスタンプの付与期間及び検索要件に係る検索項目について、
1、「スキャナ保存(区分②)に関する改正事項」の次の内容と同じ趣旨の改正が行われました。
・タイムスタンプの付与期間が、記録事項の入力期間と同様、最長約2か月と概ね7営業日以内とされました。
・検索要件の記録項目について、取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先に限定されるとともに、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの
求めに応じる場合には、範囲指定及び項目を組み合わせて条件を設定できる一定の機能の確保が不要となりました。
2、基準期間(※)の売上高が 1,000 万円以下である事業者について、税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの
求めに応じることができるようにしている場合には、検索要件の全てが不要とされました。
(※) 基準期間については、個人事業者と法人で次のとおりとされています。
・個人事業者については電子取引が行われた日の属する年の前々年の 1 月 1 日から 12 月 31 日までの期間
・法人については電子取引が行われた日の属する事業年度の前々事業年度
この改正は、令和4年1月1日以後に行う電子取引について適用されます。
適正な保存を担保する措置の見直し
1、 申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、その電磁的記録の出力書面等の保存をもって
その電磁的記録の保存に代えることができる措置が廃止されました。
なお、消費税における電子取引の取引情報等に係る電磁的記録については、引き続き出力書面による保存が可能です。
この改正は、令和4年1月1日以後行う電子取引について適用されます。
2、電子取引の取引情報に係る電磁的記録に関して、隠蔽し、又は仮装された事実があった場合には、
その事実に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税が 10%加重される措置が整備されました。
この改正は、令和4年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。
まとめ
令和3年度税制改正により、電子帳簿保存法の改正が行われ、そのうち、電子取引(区分③)に関する改正項目については、
・タイムスタンプ要件及び検索要件についての一定要件の緩和
・適正な保存を担保する措置の見直し
が実施される事になりました。
電子帳簿保存の活用が経理事務の負担軽減や効率化にも繋がる部分がありますので、詳細は、国税庁ホームページ内での確認や、税理士等の専門家に確認するようにしましょう。