
目次
はじめに
原材料価格やエネルギー価格の上昇により、事業者の資金繰りに影響が出るケースが続いています。
特に、小規模事業者や中小企業では、仕入価格、外注費、物流費、水道光熱費などの上昇分を、すぐに販売価格へ転嫁できないことがあります。
その結果、
- 売上は大きく減っていないのに利益が減っている
- 仕入や外注費の支払いが先行して資金繰りが厳しい
- 光熱費や燃料費の上昇により手元資金が減っている
- 金融機関からの借入残高が減り、追加の運転資金を確保したい
- 価格転嫁が十分にできず、利益率が低下している
といった状況が生じることがあります。
このような中で、中野区では、区内事業者向けの資金繰り支援策として、**「中東情勢対応資金」**を実施しています。
この制度は、中東情勢の影響により、原材料やエネルギー価格が上昇し、資金繰りに影響が出ている区内事業者を支援するための融資あっ旋制度です。
特徴的なのは、本人負担金利が実質0%で、信用保証料についても区が負担する仕組みになっている点です。
そのため、事業者から見ると、いわゆる「ゼロゼロ融資」に近い性質を持つ資金繰り支援策といえます。
ただし、注意したいのは、過去に新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者向けに実施された全国的なゼロゼロ融資と、今回の中野区の「中東情勢対応資金」は、同じ制度ではないという点です。
今回の制度は、本人負担金利が実質0%で、信用保証料も区が負担する仕組みとなっているため、事業者から見ると実質的にゼロゼロ融資に近い資金繰り支援策といえます。
そのため、「コロナ時のゼロゼロ融資がそのまま再開された」と捉えるのではなく、**「中野区が実施している、金利負担と信用保証料負担を抑えた事業者向けの融資制度」**と整理する方が正確です。
本記事では、中野区の実質ゼロゼロ融資ともいえる「中東情勢対応資金」について、制度の概要、対象者、融資条件、申込時の注意点、資金繰りを考えるうえで確認すべきポイントをわかりやすく解説します。

中野区の「中東情勢対応資金」とは
中野区の「中東情勢対応資金」は、中東情勢の影響によって原材料やエネルギー価格が上昇し、資金繰りに支障が生じている区内事業者を支援するための融資あっ旋制度です。
中野区公式ページでは、中東情勢の影響により、原材料やエネルギーの価格が上昇し、区内事業者の負担が大きくなっていること、特に中野区では小規模な事業者が多く、急な環境変化の影響を受けやすい状況にあることが説明されています。
この制度は、利子や信用保証料を区が負担することで、事業者が資金を活用しやすくし、事業継続を支援することを目的としています。
制度名に「中東情勢」とあるため、一般的な低利融資制度ではなく、中東情勢に伴う原油・原材料価格の高騰等による影響を受けている事業者向けの資金繰り支援策として位置付けられます。
なぜ「実質ゼロゼロ融資」といえるのか
この制度が「実質ゼロゼロ融資」と表現できる理由は、主に次の2点にあります。
本人負担金利が実質0%
中野区の「中東情勢対応資金」では、本人負担金利が実質0.0%とされています。
これは、利子補給により、事業者本人の実質的な金利負担が抑えられるためです。
通常、金融機関から融資を受ける場合には、借入金に対して利息を支払います。
しかし、この制度では、区が利子補給を行うことで、事業者の本人負担金利が実質0%となる仕組みです。
信用保証料を区が負担
もう一つの大きな特徴が、信用保証料の負担です。
中小企業や小規模事業者が制度融資を利用する場合、信用保証協会の保証を付けて借入を行うことがあります。
その際、通常は信用保証料が発生します。
しかし、中野区の「中東情勢対応資金」では、信用保証料について区が全額負担するとされています。
なお、小規模企業者の場合には、東京都が2分の1、中野区が2分の1を負担する形とされています。
つまり、事業者から見ると、
- 本人負担金利が実質0.0%
- 信用保証料も実質的に負担なし
という制度内容になります。
このため、一般的な意味で「実質ゼロゼロ融資に近い制度」と説明することができます。
コロナ時のゼロゼロ融資と同じ制度ではない
ここで、特に注意したい点があります。
今回の中野区の「中東情勢対応資金」は、過去に新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者向けに実施された、いわゆるコロナ関連のゼロゼロ融資と同一制度ではありません。
コロナ時のゼロゼロ融資は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者を支援するために実施された制度です。
一方、今回の中野区の「中東情勢対応資金」は、中東情勢に伴う原油・原材料価格の高騰等により、資金繰りに支障が生じている区内事業者を支援するための制度です。
したがって、
「コロナ時のゼロゼロ融資が中野区でそのまま再開された」
という理解は正確ではありません。
正確には、
中野区が、本人負担金利を実質0%とし、信用保証料も負担することで、事業者の資金繰りを支援する制度を実施している
という整理になります。
この違いを理解しておくことで、制度の趣旨や対象要件を誤解しにくくなります。

申込受付期間
中野区公式ページでは、「中東情勢対応資金」の申込受付期間は、令和8年6月1日から令和8年9月30日までとされています。
ただし、今後の中東情勢により、変更となる場合があるとも案内されています。
そのため、申込みを検討する場合には、必ず中野区の公式情報や取扱金融機関で最新の受付状況を確認することが重要です。
特に、現在は多数の申込みがあるとされているため、申込期間内であっても、準備や手続きに時間がかかる可能性があります。
利用できる事業者の主な要件
中野区の「中東情勢対応資金」を利用するためには、次の全ての要件を満たす必要があります。
主な要件として、次のようなものがあります。
- 中野区内に主たる事業所を有する中小企業者または組合であること。
- 中東情勢に伴う原油・原材料価格の高騰等により、資金繰りに支障が生じていること。
- 東京都信用保証協会の保証対象業種に属する事業を営んでいること。ただし、一定の業歴要件が必要となる場合がある。
- 当該事業を営むために許可、認可、登録、届出等を必要とする業種にあっては、当該許可等を受けている(又は、受ける)こと。
- 事業税その他租税の未申告・滞納や、社会保険料の滞納がないこと。ただし、完納の見通しが立つ場合などはこの限りではない。
- 現在かつ将来にわたって、暴力団員等に該当しないこと、暴力団員等が経営を支配していると認められる関係等を有しないこと及び暴力的な要求行為等を行わないこと。
- 次のアからエまでのいずれかに該当していること。
ア 「最近3 か月間(申込月の前々月を含めること。)の売上実績」又は「今後3 か月間(申込月の翌月を含めること。)の売上見込」が前年同期と比較して、5%以上減少している。
イ 原油価格の上昇により、製品の製造若しくは加工又は役務の提供(以下「製品等」という。)に係る最近1 か月間の売上原価のうち20%以上を占める原油又は石油製品(以下「原油等」という。)の最近1 か月間の仕入単価が20%以上上昇しているにもかかわらず、物の販売又は役務の提供の価格(加工賃を含む。)の引上げが著しく困難であるため、最近3 か月間の売上高に占める原油等の仕入価格の割合が、前年同期の売上高に占める原油等仕入れ価格の割合を上回っている。
ウ 「最近3 か月間の売上高営業利益率」が前年同期と比較して、20%以上減少している。
エ 金融機関からの総借入金が前年同期と比較して、10%以上減少している。
資金使途は運転資金
中野区の「中東情勢対応資金」の資金使途は、運転資金です。
なお、この制度では借換は不可とされています。
つまり、既存借入金をこの制度に置き換える目的では利用できません。
融資限度額と返済期間
中野区の「中東情勢対応資金」の融資限度額は、2,000万円です。
返済期間は、7年以内とされており、そのうち据置期間は1年以内です。
なお、据置期間とは、一定期間、元金返済を据え置くことができる期間をいいます。
資金繰りが厳しい事業者にとって、融資を受けてすぐに元金返済が始まると、手元資金の改善効果が限定的になることがあります。
そのため、据置期間を活用できる場合には、当面の資金繰り改善につながる可能性があります。
ただし、据置期間を設けたとしても、返済が免除されるわけではありません。
据置期間終了後には、元金返済が始まります。
そのため、制度利用時には、
「借りられるか」
だけでなく、
「据置期間終了後に返済できるか」
を確認する必要があります。
担保は原則不要だが例外もある
中野区公式ページでは、担保は原則として不要とされています。
ただし、場合により要求されることがあるため、条件等は取扱金融機関に確認する必要があります。
制度上は原則不要であっても、融資の可否や条件は取扱金融機関の審査により判断されます。
会社の財務状況、借入状況、返済能力、事業内容、金融機関との取引状況などによって、実際の判断は異なります。
そのため、
「制度の対象であること」
と、
「希望どおりに融資を受けられること」
は分けて考える必要があります。

手続きの流れ
中野区の「中東情勢対応資金」は、取扱金融機関を通じて手続きを進めます。
大まかな流れは次のとおりです。
1. 取扱金融機関へ相談する
まず、取扱金融機関にて融資申込みの手続きを行います。
普段から取引のある金融機関がある場合には、まずその金融機関へ相談するのが一般的です。
取引実績がある金融機関であれば、会社の事業内容や資金繰りの状況を把握しているため、相談が進めやすい場合があります。
2. 必要書類を準備する
必要書類を揃え、取扱金融機関の担当者へ提出します。
あっ旋申込みは、取扱金融機関の代理により行われます。
書類不備があると手続きが遅れるため、申込み前に必要書類を確認することが重要です。
3. 中野区があっ旋状を発行する
審査の結果、あっ旋の条件を満たしている場合、中野区から取扱金融機関へ「あっ旋状」が送付されます。
なお、あっ旋状の有効期間は発行後3か月です。
4. 金融機関が融資の可否を判断する
あっ旋状が発行されたとしても、その時点で融資が確定するわけではありません。
取扱金融機関が審査の上、融資の可否や返済条件などを決定します。
この点は特に注意が必要です。
制度の対象であることと、実際に融資を受けられることは、必ずしも同じではありません。
また、返済は原則として月賦払い、固定金利による元金均等方式です。
5. 融資実行後に利子補給が行われる
融資実行後、区から取扱金融機関に対して年4回利子補給が行われます。
事業者側では、返済条件や利子補給の仕組みについて、金融機関に確認しておくと安心です。
申込みが多数ある場合の注意点
中野区公式ページでは、現在多数の申込みがあるため、あっせんまでに時間がかかる場合があると案内されています。
この点は、資金繰りに悩む事業者にとって重要です。
資金繰りに困っている場合、
- 今月末の支払いに間に合わせたい
- 急いで仕入資金を確保したい
- 給与や家賃の支払いに備えたい
- 取引先への支払いを遅らせたくない
という状況が考えられます。
しかし、申込みが集中している場合には、必要書類を提出してからあっ旋まで時間を要する可能性があります。
さらに、あっ旋後には金融機関や信用保証協会等の審査もあります。
つまり、
申込みをしたらすぐに融資が実行される
という制度ではありません。
資金繰りに不安がある事業者は、できるだけ早めに取扱金融機関へ相談し、必要書類の準備を進めることが重要です。
必要書類の確認も重要
申込みには、共通書類に加えて、法人の場合、個人事業主の場合で必要書類が異なります。
共通書類としては、
- 中野区産業経済融資資金あっ旋申込書(区所定様式)
- 中東情勢対応資金利用確認書兼誓約書(区所定様式)
- 東京都制度融資様式32「該当届」の写し
- 委任状
- その他金融機関・東京都・信用保証協会が求める書類等
などが案内されています。
法人の場合には、
- 直近の法人都民税納税証明書(事業年度終了日から3カ月以上経過した最新年度分)
- 直近の法人税確定申告書(別表1のみ)
- 決算書(決算報告書のみ)の写し
- 履歴事項全部証明書の写し(発行後3カ月以内のものに限る)
などが必要とされています。
個人事業主の場合には、
- (区内在住の場合)住民税(特別区民税・都民税)納税証明書
- (区外在住の場合)住民税(特別区民税・都民税)(事業所・事業所分)納税証明書
- ※非課税の方は非課税証明書
- ※「2026年中野区産業経済融資のご案内」(PDF形式:10,807KB)6頁 納期対応表記載「必要な証明内容」の納付が確認できるもの
- 直近の所得税確定申告書(第1表のみ)
- 青色申告決算書(損益計算書・貸借対象表のみ)または収支内訳書(1枚目)の写し
- 個人事業の開業・廃業等届出書の写し
- ※上記書類に個人番号がある場合は、個人番号部分にマスキング処理(黒く塗りつぶす等)を施した状態で提出
などが必要とされています。
また、金融機関、東京都、信用保証協会が追加書類を求める場合もあります。
※「主たる事業所」のみが区内にあることをもって融資あっせん申込を行う場合には、主たる事業者が1年以上区内にあることがわかる書類を別途ご提出いただく必要があります。
(例)法人設立・設置届出書の写し、または、異動届出書の写し(「主たる事業所」所在地の記載があるものに限ります。)
必要書類は、事業者の状況や申込内容によって異なる場合があるため、申込みを検討する際には、中野区公式ページや取扱金融機関で最新情報を確認することが重要です。
事業者が確認すべき資金繰りのポイント
この制度は、本人負担金利や信用保証料の面で、事業者にとって利用しやすい制度です。
しかし、融資である以上、将来的には返済が必要です。
そのため、利用を検討する際には、次の点を確認することが重要です。
いくら必要なのか
まず、必要資金額を確認する必要があります。
「借りられるだけ借りる」のではなく、
- 何に使うのか
- いつ必要なのか
- いくら不足するのか
- どの支払いに充てるのか
- どのくらいの期間を支える資金なのか
を明確にすることが大切です。
いつまで資金が持つのか
融資を受けた場合、手元資金は一時的に増えます。
しかし、その資金が何か月分の支払いを支えられるのかを把握しておく必要があります。
資金繰り表を作成し、入金予定と支払予定を確認すると、必要な融資額や返済可能性が見えやすくなります。
特に、売上入金の時期と仕入・外注費・給与・家賃などの支払時期にズレがある場合には、月ごとの資金繰り確認が重要です。
返済は可能か
本人負担金利が実質0.0%であっても、元金返済は必要です。
返済期間が7年以内で、据置期間を設けられるとしても、いずれ返済は始まります。
そのため、
- 据置期間終了後の返済額
- 毎月の資金繰りへの影響
- 既存借入金との合計返済額
- 売上や利益の回復見込み
- 原材料価格やエネルギー価格の今後の見通し
を確認しておく必要があります。
他の制度との比較も必要
資金繰り支援策には、自治体、東京都、信用保証協会、金融機関などによる複数の制度があります。
今回の制度が自社にとって最適かどうかは、会社の状況によって異なります。
例えば、借換を希望している場合には、この制度は借換不可とされているため、他の制度を確認する必要があります。
また、設備投資資金を希望している場合にも、資金使途が運転資金である点に注意が必要です。
「ゼロゼロ」に注目しすぎないことも大切
実質ゼロゼロ融資という言葉は、非常に分かりやすく、事業者の関心を集めやすい表現です。
しかし、経営判断としては、金利と保証料だけで判断しないことが重要です。
たとえ金利負担や信用保証料負担が抑えられても、借入金である以上、元金返済は発生します。
また、融資を受けることで、将来の借入余力や金融機関との取引にも影響する可能性があります。
大切なのは、
「負担が少ないから借りる」
ではなく、
「事業継続や資金繰り改善のために必要な資金を、返済計画を立てたうえで活用する」
という視点です。
特に、現在多数の申込みがある制度では、申込みのタイミングや書類準備の早さも重要になります。
早めに金融機関へ相談し、自社が要件に該当するか、必要書類に不足がないか、融資実行までどの程度時間がかかりそうかを確認しておくことが大切です。

まとめ
中野区の「中東情勢対応資金」は、中東情勢に伴う原油・原材料価格の高騰等により、資金繰りに支障が生じている区内事業者を支援するための融資あっ旋制度です。
本人負担金利は実質0%で、信用保証料も区が負担するため、事業者から見ると実質的にゼロゼロ融資に近い制度といえます。
一方で、過去の新型コロナウイルス感染症関連のゼロゼロ融資と同一制度ではありません。
今回の制度は、中野区が実施している、金利負担と信用保証料負担を抑えた事業者向けの資金繰り支援策として理解することが重要です。
この制度は、資金繰りに悩む事業者にとって有力な選択肢となる可能性があります。
一方で、融資である以上、返済計画を立てることが不可欠です。
制度のメリットだけでなく、自社の資金繰り、返済可能性、必要書類、申込スケジュールを確認したうえで、早めに取扱金融機関へ相談しましょう。
正式名称は「中東情勢対応資金」です。本人負担金利が実質0.0%で、信用保証料も区が負担するため、事業者から見ると実質的にゼロゼロ融資に近い制度といえます。ただし、過去の新型コロナウイルス感染症関連のゼロゼロ融資と同一制度ではありません。
融資限度額は2,000万円です。
返済期間はどのくらいですか?
返済期間は7年以内で、据置期間は1年以内とされています。
資金使途は何に使えますか?
資金使途は運転資金です。借換は不可とされています。
申込みをすれば必ず融資を受けられるわけではありません。中野区のあっ旋条件を満たしたうえで、取扱金融機関等の審査により融資の可否や返済条件が決定されます。
免責事項
本記事は、中野区が公表している「中東情勢対応資金」に関する一般的な情報提供を目的として作成しています。制度内容、申込受付期間、対象要件、必要書類、融資条件等は変更される場合があります。また、融資の可否や返済条件は、取扱金融機関、信用保証協会等の審査により異なります。本記事を参考に行われた判断や行動、その結果として生じた損害等については責任を負いかねますので、実際の申込みや資金調達の判断にあたっては、中野区、取扱金融機関、専門家等へ最新情報をご確認ください。
出典元:中野区ホームページ「中東情勢対応資金のご案内」




