
目次
はじめに
「住民税って、東京都に払ってるんじゃないの?」
そんなふうに思っている方は、実は多いのではないでしょうか?
特に、東京都内の企業や都民の方ほど、この誤解をしやすいのですが、
**実は個人住民税の課税・徴収を担当しているのは「東京都」ではなく、各市区町村(特別区)**です。
今回は、住民税の基本的な仕組みと、誤解しやすい「課税主体」について、図表も交えてわかりやすく解説していきます。
個人住民税は「2つの税金」で構成されています
個人住民税は、以下の2つの税金で構成されています。
項目 | 内容 |
---|---|
都道府県民税 | 東京都に納める「都民税」 |
市区町村民税 | 23区なら「区民税」、市では「市民税」 |
課税・徴収をしているのは誰?
「東京都に住んでいるんだから、東京都がやってるでしょ?」というのは実は誤解です。
例えば、次の表のとおりになります。
住んでいる場所 | 課税・徴収している主体 |
---|---|
東京都新宿区など(特別区) | 新宿区などの各区(市区町村) |
東京都三鷹市など(市) | 三鷹市などの各市 |
東京都内では、市区町村が主体となって課税・徴収しており、都庁が直接処理しているわけではありません。
東京都と市区町村
東京都は、住民税のうち「都民税」に相当する部分の税収を受け取りますが、都民一人ひとりへの課税や徴収事務は、市区町村が代行しています。
つまり、都民税も含めて、市区町村が一括して通知・計算・徴収をしているのです。
よくある実務ミス
経理担当者の方がしやすい代表的なミスがこちらです。
❶ 問い合わせ先を「東京都庁」にしてしまう
→ 正しくは「従業員が住んでいる市区町村」の役所が担当です。
❷ 住民税の納付先を誤認してしまう
→ 納付書に書かれている宛先(市区町村)を確認しましょう。
❸ 引越し後の通知元を間違える
→ 毎年1月1日時点の住所地が課税主体になります。
(例)1月1日時点で「渋谷区」に住んでいた場合、6月以降の納税通知は渋谷区から届きます。
メディア側でも注意したい表現
もし、「東京都が住民税を課税している」という表現がされてしまうと、実際の制度的には誤解を招く表現となります。
正しくは、
「市区町村が課税主体となって、都民税も含めた住民税の課税・徴収を行い、納税義務者が納税する際には、
各市区町村に東京都分と市区町村分の合計額を同時に納め、都民税は各市区町村から東京都に払い込まれます」
というのが正しい説明です。
まとめ:個人住民税については、東京都ではなく、市区町村が課税主体です
個人住民税に関する実務処理や問合せ対応は、「市区町村」が窓口です。
この仕組みを知っておくと、次のメリットがありますので、誤りのないようにおさえておきましょう。
・経理実務でのミスが減る
・住民税の納付・確認作業がスムーズになる
・メディア関係者も制度内容を正確に伝えられる